「つきました! ここが異世界です!」
編集氏に続いて僕もゲートに入る。
すると、商店街の路地裏は姿を消し、広い自然の中に立っていた。
僕の背後には、先ほど通り抜けたゲートがある。
試しに腕を突っ込んでみると、ゲートの裏に腕が抜けることはなく、肘から先が無くなった。
腕を動かしてみると、感覚はある。腕だけ現代に飛ばされているのだ。
「先生、なにしてるんですか。異世界はこっちですよ」
「中々聞くセリフじゃないですねそれ」
ゲートから腕を引き抜いて、編集氏の方を向く。
編集氏は腕を頭の上でぶんぶんと振っていた。
「楽しそうですね」
「そりゃあ異世界ですから。むしろ先生が元気なさすぎるんですよ」
編集氏は唇を尖らせて文句を言ってくる。
そうは言われてもな……。
僕は周りを一瞥しながら言う。
「森しかないじゃないですか」
前を見ると木と木と木と木と木と木と木が。
右を見ると木と木と木と木と木と木と木が。
左を見ると木と木と木と木と木と木と木が。
後を見ると木と木と木と木と木と木と木が。
木と木と木ばかりの森が、僕の視界に広がっていた。
「確かに大きな森ではありますけど、異世界っぽくはないからあんまり現実味がわかないというか」
「現実味がわかないって異世界に対する褒め言葉では?」
「言葉尻を狙ってくるなあ」
「でも確かにそうですね」
編集氏はあごに手を添える。
「例えばここで角の生えた馬がやってきたら、一瞬でここが異世界だと分かるし」
「ユニコーンって言いなよ」
「異世界に来たなら、異世界感を序盤にいかに出すかが重要だと、先生はおっしゃりたいのですね!」
「まあ、その通りですね」
「とすると今までの話は牛歩であったと。はやく異世界に行きなよと」
「急に僕のことを刺すのはやめて」
と、構成について話していると。
森の奥から悲鳴が聞こえてきた。女性の声だった。
僕は悲鳴の方を向いてから、編集氏の顔を見る。
編集氏は目をキラキラと輝かせていた。
「誰かの悲鳴ですよ。これでゴブリンに襲われていたら、もう異世界ですよやったー!」
「人の不幸を期待するな、最低編集!」
***
ということで第3回でございます。
新人編集のえむもとです。
第3回です。3回もやるとは思っていませんでした。
今回はそもそもこのブログは一体何なのか。という話をします。
ブログ欄が動いてなくて寂しいという理由から始まったものですが、そもそもが「編集部ブログ」という体で始まっています。
冒頭で話している通り、異世界に来たなら異世界を見たいものです。
『ゴジラ』を観る目的はゴジラの活躍であるように。
『変な家』を観る目的は変な家であるように。
『コカイン・ベア』を観る目的はトリップしている熊であるように。
『少林寺三十六房』を観る目的は少林寺での修行であるように。
編集部ブログ。というからには、COMICユニコーン編集部のお話をするのが筋でしょう。
そもそもブログの文ではない冒頭から始まるのは一体なんなんだ。というお話もありますが。
ということで、今回はCOMICユニコーン編集部で自分はなにをしているのか。という話をします。
とはいえ、自分はまだお手伝いぐらいのことしかしていないので、初心者な話しかできませんが……。
まずはこちらの写真をご覧ください。
これは『勇者の母ですが、魔王軍の幹部になりました。』の14話の赤入れの様子です。
吹きだしの中にどれだけのセリフをどのぐらいの大きさで、どんなフォントを使用して入れるのかを考えるところです。
透明な下敷きのようなものはQ数表といい、文字の大きさをはかるためにあるものです。こんな感じ。
原稿とテキストデータを見比べながら、ここは大きくした方がいい。小さくしよう。このフォントを使おうなどを考えながら赤を入れていきます。
原稿に直接赤を入れるパターンもありますが、勇者の母の場合は基本的にテキストデータと見比べながら書きこむ方式でやっています。
(これは使ったフォントを覚えておく用のメモ書きですね)
こうして赤を入れ終わったら、印刷会社さまに送り
戻ってきたものにまた赤を入れ、担当確認等々を経て…
了
となります。
こうして出来上がった原稿データがCOMICユニコーンに載っていくわけです。
またいつか、自分の担当作品などができましたら、0からの話もしたいですね。
ということでまた次回。なにを話すか、なにを書くか全て未定です。