「異世界ものを書きましょう」
「はい!」
 編集氏に呼びだされてチェーンのカフェにやってきた僕は、座って早々の依頼に、なにも考えずに返事をした。
 元気な返事だけは得意だという自負がある。
 子供の頃から、成績表に『返事はとても良いのですが、自分がなにに返事をしたのかも分かっていない様子があり、とても不安です』と書かれ続けてきたぐらいだ。
 事実、目の前でコーヒーを飲んでいる編集氏の目も、僕のことを一切信用していないことだけはハッキリと見て取れた。
 左目が『懐』で右目が『疑』である。
 だから続けて、僕はこう尋ねた。

「異世界ものってなんですか?」
「嘘でしょ」
「嘘です」
「なぜそんな無意味な嘘を」
 冗談を言いたい気分だったからだ。
 僕もコーヒーを注文してから、話を続ける。

「最近人気ですよね、異世界もの。DCも異世界ものアニメをやってましたし」
「その通り。今や『ISEKAI』はワールドワイドな人気を誇る一大ジャンル。作家としては、一度は書かないと損だと思いませんか?」
「ええ、はい。それは確かにそうかもしれませんけど……」
 彼女の頭の中では既に、僕が書いた作品が売れまくって大人気となっているのだろう。
 目をキラキラと輝かせている彼女に、僕は自分の顔を指さしながら言う。

「僕、ノンフィクション作家ですよ?」
 僕の仕事は文字を書くことである。
 そう言うとよく、小説家だと勘違いされるのだけれども、僕が書いているのは『自分が体験したこと』だけ。
 様々な危険スポットや心霊スポット、変なお祭りに奇妙な体験に潜り込み、体験をルポとして書き下ろす『潜り込みシリーズ』というものを細々と書かせてもらっている。
 ルポライター。と言った方が分かりやすいだろうか。

 提出先の編集部に所属しているし、なんなら僕を変なスポットに送り込む役目を担っている編集氏が、僕の仕事内容を知らないとは思えないし……まさか、『潜り込みシリーズ』が打ち切られるから、新境地に挑戦しようとかそういう話なのだろうか。

「違いますし、知ってますよ。ノンフィクション作家だから、依頼しているんです」
 編集氏はニコニコと笑いながら言う。
 僕をやたら変な場所に送り込む時の、わくわくが隠し切れていない笑み。
「見つかったんですよ。異世界に繋がる道が。だから先生に潜り込んでもらおうかと。行けますか?」
「はい!」
 僕はいつも通り、なにも考えないまま返事をした。
 返事をしてから「異世界に繋がる?」という疑問が湧いたが、もう遅かった。

***

 というノリで書こうかと思ったのですが。

・そもそもブログであること
・作家が取材と称して異世界を旅行する話は既に数作品存在すること

 などの理由から没とさせていただきました。

 初めまして、COMICリュウ・ユニコーン編集部所属の新人編集、えむもとと申します。
 このたび、COMICユニコーンのブログ記事を担当させていただくことになりました。

 そもそも『COMICユニコーン』とはなんぞや?
 という方もいらっしゃるでしょうから、ここでお話させていただきます。

 COMICユニコーンとは、『推しが武道館いってくれたら死ぬ』『ヒトミ先生の保健室』『きのこいぬ』『モンスター娘のいる日常』『アリスと蔵六』など、多彩なジャンルの作品を世に送りだしてきたCOMICリュウがお届けする新レーベル。つまり、リュウの弟みたいなレーベルになります。

 専門は本サイトの頭にある通り『異世界ファンタジーのコミカライズ』になります。

現在は


『勇者の母ですが、魔王軍の幹部になりました。』

原作:野山歩/漫画:ツヅル(@touya_tsuduru)

『異世界⇔地球間で個人貿易してみた』

原作:肥前文俊(@HizenHumitoshi)/漫画:海老猫道楽(@EBIKANIYUDE)

『天才派遣所の秀才異端児 ~天才の能力を全て取り込む、秀才の成り上がり~』

原作:壱弐参(@hihumi_monokaki)/漫画:はやさかめばゑ(@mebawe)

『召喚勇者、倒した魔王はオレ自身~魔王(オレ)は勇者(オレ)に倒されるために魔王軍を作ります~』

原作:森脇かみん(@kamin88)/漫画:山口陽史(@atomusuku)

以上4作品が連載中です。

 現在も新連載に向け、水面下で進行中の作品が幾つかあるとか…?
 まだ始まったばかりですが、どんどんと賑やかになっていくであろうユニコーンをお楽しみください! 第二回編集部ブログがどんな話をするかは未定です!

えむもと